技術の未来のために、研究を志す学生を支援したい。
その思いから設立されたケイズ特別奨学金制度。

大学は地元の鳥取大学工学部の知能情報工学科に入学しまして、当時はプログラミングに関する知識や技術、数理最適化などの数学について学んでいました。大学時代に私が選んだ研究テーマは、看護師の患者さんに対する判断を数理モデルにする、というものです。看護師は、入院患者の状態について、電子カルテ情報に基づきさまざまな判断を下しています。「危ない、転倒しそうだ」「今日は大丈夫そうだ」といった判断は患者さんを目で見た時の感覚なんですが、その感覚を数学的な法則に落とし込んでみました。ケイズには、深度センサーを使った患者さんの寝姿勢を判定するシステムがありますが、これは私の研究から派生した技術です。

大学には、研究の世界に興味を持ち、博士課程を目指す学生がいます。しかし、いざ博士課程に進もうとすると大きなハードルが行く手を阻みます。一つは、経済の問題。なるべく研究に時間を割こうとすると、アルバイトも満足にできません。もう一つが、就職の問題。がんばって博士号を取得しても、その後、安定した職に就けるとは限りません。
鳥取大学と株式会社ケイズは、長らく技術的な交流があり、研究人材の育成についても問題意識を共有していました。この両者が、研究を志す学生のために具体的な支援制度を検討しているという噂を聞いた私は、迷わず手を挙げ、博士課程に進みたい、そしてそのための支援を受けたいことを伝えました。このことがきっかけで、現在のケイズ特別奨学金制度ができたのだそうです。私は、その最初の利用者ということになります。

奨学金のご縁があったので、ケイズに就職するのは自然な流れではあったのですが、別の大きな理由に地元への愛着があります。私は鳥取県で生まれ育ったので、できれば地元企業に就職したいと考えていました。それに、大学や就職のことではできるだけ両親に負担をかけたくないという思いもありました。山陰地方で、しかもIT分野の研究部門があるケイズは、私の条件にぴったり合っていたんです。